1995年
著者:田中平三
所属:東京医科歯科大学難治疾患研究所社会医学研究部門

  • 健康科学
  • 生活習慣病予防

緒言

わが国では、高度経済成長時代(1960年頃-1975年頃)を境として、それまでのご飯、味噌汁、漬物に代表される高食塩・高炭水化物の「伝統型」食生活から、伝統的なパターンをある程度維持しながらも、肉類、卵類、牛乳および乳製品を日常の食事に取り入れた「現代型」食生活へと急速にシフトしていった。国民栄養調査成績の経年推移で示されている乳類の摂取量の変化は、このような食生活全般の変化を的確にあらわしているものと言えよう。また、疾病構造や、肥満者の割合、血清総コレステロールや血圧値の平均値も、戦後50年の間、特に高度経済成長時代に大きく変化した。すなわち、環境要因としての食生活の変化が、国民の健康状態に大きな影響をと及ぼしたことが推測される。
本研究では、都市および農山村在住者を対象として、牛乳および乳製品を摂取している者と全く摂取していない者とについて、ライフ・スタイル、保健行動、循環器疾患リスク・ファクター(血圧値、血清脂質値、肥満度等)を比較することを目的とする。これにより、牛乳および乳製品の摂取が、国民の健康状態に及ぼす影響について、検討するものである。
一昨年度は研究の第一段階として、牛乳および各種乳製品摂取の現状を、性・年齢・地域別に詳細に記述し、各種栄養素への寄与の状況について報告した。昨年度は、牛乳摂取習慣のある者とない者とで、ライフ・スタイル、保健行動にどのような違いがあるのかを明らかにした。さらに本年度は、牛乳摂取習慣の有無だけでなく、1日あたりの牛乳摂取量と循環器疾患リスクファクターとの関連を明らかにする。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000022lsv.html

2015年9月18日