牛乳に多量に含まれる短鎖脂肪酸の中枢神経系(行動)に及ぼす作用
1995年
著者:山口正弘
所属:順天堂大学スポーツ健康科学部栄養生化学
要旨
以前、我々は普通の飼料と総カロリーを変えずにその脂肪を牛乳の脂肪に置き換えた飼料で飼育したラットは運動能力は向上しても、自発運動が減少することを報告した。この原因は牛乳の中に鎮静作用を誘起する脂肪酸が含まれていると考えて、運動系の中枢としての大脳基底核(basal ganglia)、特に黒質(substantia nigra)の機能を中心に脳微小透析法(GABAの測定)、in vivo voltammetry法(serotonin,Dopamineの測定)を用いて検討した。
慢性実験として、牛乳の脂肪を含む飼料で約50日飼育したラットは、対照のラットと比較すると、生長(体重増加)にほとんど差がなく、黒質に遊離されるGABA(中枢の抑制作用をもつ)が増加していた。
急性実験として、ラットを普通の飼料で銭育しておき、それに牛乳に特異的に多量に含まれている短鎖脂肪酸の一種である酪酸ナトリウムを腹腔内に注射したラットは、対照のラットにくらべて、黒質に遊離されるserotonin(催眠誘起に関係する)とDopamineの両者が同じ時間経過を示して、増加した。
以上のことから、牛乳の中にある酪酸などの短鎖脂肪酸は単にエネルギー代謝に関係するのみでなく、直接またはその代謝産物が中枢神経系の種々の回路網を介して、情動(鎮静作用)に影響をおよぼすものと考えられる。
書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000022ll2.html
慢性実験として、牛乳の脂肪を含む飼料で約50日飼育したラットは、対照のラットと比較すると、生長(体重増加)にほとんど差がなく、黒質に遊離されるGABA(中枢の抑制作用をもつ)が増加していた。
急性実験として、ラットを普通の飼料で銭育しておき、それに牛乳に特異的に多量に含まれている短鎖脂肪酸の一種である酪酸ナトリウムを腹腔内に注射したラットは、対照のラットにくらべて、黒質に遊離されるserotonin(催眠誘起に関係する)とDopamineの両者が同じ時間経過を示して、増加した。
以上のことから、牛乳の中にある酪酸などの短鎖脂肪酸は単にエネルギー代謝に関係するのみでなく、直接またはその代謝産物が中枢神経系の種々の回路網を介して、情動(鎮静作用)に影響をおよぼすものと考えられる。
書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000022ll2.html