1995年
著者:辻啓介
所属:国立健康・栄養研究所応用食品部

  • 健康科学
  • 生活習慣病予防

抄録

20-25%カゼイン飼料群を対照に、乳ホエー分離(以下ホエー)たんぱく質と大豆分離(以下大豆)たんぱく質の飼料組成を段階的に置換して、ICR系マウスのコレステロール(Chl)胆石形成や血清、肝臓、胆嚢のコレステロールや胆汁酸、あるいはその他の脂質含量に及ぼす影響を調べた。
その結果、① 20-25%カゼイン群では高率にChl結石を生じた。② 大豆たんぱく質では、20%合有飼料のみで動脈硬化指数と肝Chlの低下が認められたが、胆石形成には影響がなかった。③ ホエーたんぱく質では10-25%の飼料組成で肝臓Chlの上昇抑制、ならびに胆石形成が有意に抑制され,糞胆汁酸排泄量の増加が認められた。④ たんぱく質加水分解酵素による処理でもホエーたんぱく質の胆石形成阻止の活性には差異が生じなかったが、ホエーたんぱく質を構成するアミノ酸混合物では若干の同活性低下が認められた。⑤ 酵素分解ホエーたんぱく質の限界濾過による分子篩いによって分画すると、高分子画分により強い活性が認められた。
以上、たんぱく質の種類と量はChl胆石形成に影響を及ぼした。ホエーたんぱく質の胆石形成阻止効果は灘消化性のペプチドに有効性があることが判明した。ホエーたんぱく質のコレステロール胆石形成阻止は著しいことから、カゼインとホエーを共に含む全乳摂取の意義が認められた。


書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000022ll2.html

2015年9月18日