1995年
著者:中村治雄
所属:防衛医科大学校第一内科

  • 健康科学
  • 各ライフステージ

はじめに

血清コレステロール濃度の増加、特に低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール値の増加は、冠動脈疾患を中心とした動脈硬化性疾患の進展、発生に重要な危険因子となっていることが知られている。しかも血清コレステロール、LDLコレステロール高値を改善させることにより、心疾患による事故、あるいは冠動脈硬化所見の改善が認められてきている。
これら高血圧症の是正について、その基本は食事療法であり、特にそのなかでも飽和脂肪酸と、コレステロール摂取量が問題となっており、それらの制限が中心となって実際の臨床面で応用されている。しかし1982年頃より、蛋白質の質と血清コレステロールの関係が注目され、動物性蛋白、大豆蛋白などの植物性蛋白の血清脂質への影響が検討され始めた。しかし、その後日本人において、臨床的に正確な評価をし得る成績は、動物性蛋白と大豆蛋白との間では確認されていない。しかも、近年食後高脂血症、特にレムナントの高値と動脈硬化との関連が明らかとなり、食事内容によって、そのレムナントコレステロール値が変動することが指摘されるようになった。
そこで今回、動物性蛋白として、牛乳蛋白カゼインと、大豆蛋白とを同一人で交叉法にて摂取し、空腹時血清脂質、およびクリーム負荷後のレムナントコレステロールの変動について検討した。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000022ll2.html

2015年9月18日