1994年
著者:菅野道廣
所属:九州大学農学部

  • 健康科学
  • 生活習慣病予防

はじめに

動物性加工食品中に含まれている酸化コレステロール(CHOL)には種々の病態の発症ならびに老化を促進する可能性があることに関心が集められている。加工乳製品を含め多くの動物性食品には予惣以上のレベルの種々の酸化CHOLが含まれている場合があり、それらは小腸からCHOLの1/2程度の割合で吸収されることを前年報告した。したがって、最近のように加工食品が食生活の中で大きなウエイトを占めるようになってくると、酸化CHOLの大量摂取に直結し、国民の健康に及ぼす影響が危惧されるようになる。このことから、酸化CHOLの生体に及ぼす影響とその発現メカニズムを把握し、すすんで影響を抑制する方法を検討することは緊急の研究課題であるといえよう。しかしながら、吸収された酸化CHOLの生体への影響に関するin vivoでの研究例は非常に限られている。
本研究は酸化CHOLの脂質代謝に及ぼす影響に焦点を当て、食餌たん白質による酸化CHOLの悪影響を軽減するための基礎的知見を得ること目約としている。そこで、本年度はラットに酸化CHOLを投与し、食餌たん白質の違いが酸化CHOLの影響に及ぼす効果を知るため、カゼイン(動物性たん白質)および分離大豆たん白質(植物性たん白質)を用いて検討した。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021rh3.html

2015年9月18日