1994年
著者:小町喜男
所属:大阪府立公衆衛生研究所

  • 健康科学
  • 各ライフステージ

はじめに

我々は約10年間に及ぶ本研究において、食生活の異なる都市・農村・漁家、それに加えて米国ミネソタ州の白人及び日系人の集団を対象として、日米間、或いは日本国内各地の比較研究により、先ず、牛乳・乳製品の摂取と血清総コレステロール値の関連を、次いで、血圧値、さらに血液凝固線溶系との周係を引き続いて検討してきた。
そして、都市・農村・漁家の何れの集団においても、わが国の一般の人々の牛乳・乳製品の摂取量は近年増加傾向にあるとはいえ、現在の程度の摂取量では血清脂質の上昇を介して粥状硬化症の進展を促進していたと考えにくく、むしろ動物性食品の摂取増加によって脳出血の予防に働き、一方、カルシウムの摂取量の増加が血圧値の近年の低下に寄与してきた可能性が大きいことを示した。
虚血性心疾患のリスクファクターとして従来より総コレステロール、LDLコレステロールの関与が指摘されているが、血液の凝固線溶系に影響を与える血清中の脂肪酸の関与について、わが国における検討はほとんど行われていない。本研究ではコホート内症例対照研究の手法を用いて血液中の脂肪酸構成と虚血性心疾患との発症の関連を分析することとした。さらに牛乳・乳製品と血中の脂肪酸構成との関連を分析し、牛乳・乳製品と虚血性心疾患の発症との関連を検討した。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021rh3.html

2015年9月18日