1994年
著者:藤田拓男
所属:カルシウム研究所

  • 健康科学
  • 各ライフステージ
女性に骨粗鬆症が多い理由の一つとして、遺伝的に骨が男性より細く筋力が小さいことや、閉経時の、急激なエストロゲンの減少があげられるが、これらとともに栄養的因子、即ち、カルシウム摂取の不足も重要である。若い女性のやせ願望が過度の食事制限に走らせ、同年齢の男性に比べてはるかにカルシウムの摂取が少ない場合が多い。カルシウムの摂取の基本ともいうべき牛乳の摂取が、女性における骨粗鬆症予防の鍵を握るとも考えられるので、今回、湊川女子大の26人の19-20才の女子学生について、現在及び過去における牛乳の摂取を調査するとともに、末梢型定量コンピュータ断層法によって、骨量を測定した。
現在まで、牛乳摂取量その他の栄養因子の骨量に対する影響についての研究は数多いが、明確な結果を報告したものは少ない。その理由の一つとして、骨量の非侵襲約測定法がまだ完全でなく、全く代謝状態のことなる皮質骨と海綿骨の種々の割合で混在している測定部位で、両者を区別せずに測定していることによると思われる。三次元容積密度として表現すべき骨密度を、従来の方法では、線密度又は平面密度として表していたため、皮質量と海綿骨の区別が出来ず、又、体格の大きいもの程骨密度が高いという、誤った結論に達していた。定量コンピュータ断層法は初めて、骨量を三次元容積密度として測定することを可能にしたが、脊椎推体海綿骨に応用された初期の方法は、X主被爆が体幹部に大量に及ぶことから、若年女性のスクリーニングには適当でない。最近開発された、定量コンピュータ断層法(pQCT)は、橈骨遠位部で測定が可能で、若年女性における骨量の検診に理想的な方法である。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021rh3.html 

2015年9月18日