1994年
著者:保崎純郎
所属:東京医科歯科大学部保健衛生学科

  • 健康科学
  • 生活習慣病予防

はじめに

小児期からの成人病予防が重視され、近年、成人病予防検診が広まってきている。われわれは、小児期からの成人病予防検診ンステムについて継続的に研究してきた。
今までの研究により、日本学校保健会が作成した『子供のための成人病予防検診システム』は、成人病の危険因子のある児童の選別に有用であること、その危険因子スコアの高値を示す群、すなわち高リスク群は、様々な因子のうちでも、コレステロール値、肥満度、家族歴の3項目と相関が強いことを示した。また、疼痛を伴うため小児には実施し難い血液検査を除いた項目から、成人病危険スコアの判定を試みた。結果は、比較的高い正判別率は得られる一方、判別感度がやや悪く、検診法としては若干の問題を残すものの、無採血による成人病検診の可能性を示した。また、これらのいくつかの検討を通じて、牛乳摂取量とこれらの危険スコアとの関係を検討したが、相関はなかった。
本年は、本研究の総括の年にあたり、上記に述べたごとく、成人病の危険因子として相関が強いコレステロール値、肥満度、家族歴の相互の関係を分析した。特に、家族歴は、対象者の年齢によりその両親・祖父母の年齢が影響される。その点を詳細に分析した検討は少ない。そこで、両親および祖父母の世代の家族歴により分類し、脂質代謝の因子として、総コレステロール値、HDLコレステロール値、動脈硬化指数、肥満度の頻度などについて検討した。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021rh3.html

2015年9月18日