1993年
著者:大平充宣
所属:鹿屋体育大学

  • 健康科学
  • その他
 鉄欠乏は、血中ヘモグロビン(Hb)量の低下を起こすだけでなく、組織における鉄含有タンパク質の合成も抑制する。しかし、筋中の高エネルギーリン酸含有量が低下するくらい鉄欠乏が強度に進行すると、非鉄含有酵素が活性化されると報告されている。又、鉄欠乏とは無関係に、寒冷暴露やクレアチンアナログであるβ-guanidinopropionic acid(β-GPA)の経口投与などにより、高エネルギーリン酸レベルが低下した筋でも、ミトコンドリア酵素活性の上昇が認められている。このような結果は、筋中の高エネルギーリン酸レベルが長期間低下すると、それを合成するためのエネルギー代謝が刺激され、代償的な変化が起こることを示唆するものである。骨格筋におけるβ受容体分布は、ミトコンドリア酵素活性の高い筋ほど密であるという報告もあるが、そのメカニズムは明らかでない。そこで、本研究では、骨格筋β-受容体は鉄欠乏によりどう影響されるのか検討した。又、高エネルギーリン酸レベルが変わるように鉄欠乏の程度に差を生じさせ、ミトコンドリア酵素の比活性値を種類によって変えた場合のβ-受容体の反応を調べることにより、ミトコンドリア機能の何と密に関係して変化するのか検討した。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021tvd.html

2015年9月18日