運動による筋肉疲労の回復に及ぼす牛乳摂取の影響(2) −ラットを用いた、運動疲労の回復のための牛乳摂取法とそれに関する因子の分析−
1993年
著者:山口正弘
所属:順天堂大学スポーツ健康科学部栄養生化学
研究目的
運動トレーニングには常に筋肉疲労が伴う。トレーニング効果を高めるには速やかに、しかも十分な筋肉疲労の回復が必要である。
平成元年-3年までの「発育過程の運動トレーニング・ラットの体力に及ぼす牛乳および砂糖の影響」に於ける結果は: 1)十分牛乳を摂取した発育過程の運動トレーニング・ラットは自発的運動量を減少した。2)この運動トレーニング・ラットの脚筋にグレコーゲンが著しく蓄積していた。
筋グリコーゲン量が持久的運動能力の制限因子の一つであることはよく知られている。疲労困懲まで走運動すると脚筋グリコーゲンは枯渇し、走運動が不可能となる。この筋肉の機能を回復または、高めるには速やかな筋グリコーゲンの再補充および過補償現象を引き起こさせることが重要である。
今までの結果からM飼料は特に走運動トレーニング・ラット脚筋のグリコーゲン濃度を高め、また疲労困煙後に与えると、標準飼料(MM-1)に較べて速やかに枯渇した脚筋グリコーゲンの回復をもたらすことが解った。しかも、全脂粉乳の代わりに脱脂粉乳を用い、脂肪を大豆油にした飼料では、上述の結果が全く得られなかったことから、牛乳にだけに含まれる脂肪が上述の影響をもたらすと考えられた(平成元年から3年までの結果)。
そこで、牛乳だけに特別に含まれる低級飽和脂肪酸が筋線維の呼吸を著しく促進すること、特にbutyrateが30-40%も高めることを見いだした(平成4年度の結果)。即ち、低級脂肪酸が筋肉の代謝を活性化し、筋肉にエネルギーをより多く供給する効果をもたらすと考えられる。
そこで、我々は平成5年度に筋肉疲労の回復および筋運動における筋肉の代謝を高める為の栄養供給剤として利用出来るかどうかを調べるためにラットを用い、1)牛乳飼料で飼育したラットの血清中のbutyric acidの濃度はどの様になっているのか? 2)butyrateを摂取後、血液中のbutyric acidの濃度はどの様に変化するのか?等を検討した。
書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021tvd.html
平成元年-3年までの「発育過程の運動トレーニング・ラットの体力に及ぼす牛乳および砂糖の影響」に於ける結果は: 1)十分牛乳を摂取した発育過程の運動トレーニング・ラットは自発的運動量を減少した。2)この運動トレーニング・ラットの脚筋にグレコーゲンが著しく蓄積していた。
筋グリコーゲン量が持久的運動能力の制限因子の一つであることはよく知られている。疲労困懲まで走運動すると脚筋グリコーゲンは枯渇し、走運動が不可能となる。この筋肉の機能を回復または、高めるには速やかな筋グリコーゲンの再補充および過補償現象を引き起こさせることが重要である。
今までの結果からM飼料は特に走運動トレーニング・ラット脚筋のグリコーゲン濃度を高め、また疲労困煙後に与えると、標準飼料(MM-1)に較べて速やかに枯渇した脚筋グリコーゲンの回復をもたらすことが解った。しかも、全脂粉乳の代わりに脱脂粉乳を用い、脂肪を大豆油にした飼料では、上述の結果が全く得られなかったことから、牛乳にだけに含まれる脂肪が上述の影響をもたらすと考えられた(平成元年から3年までの結果)。
そこで、牛乳だけに特別に含まれる低級飽和脂肪酸が筋線維の呼吸を著しく促進すること、特にbutyrateが30-40%も高めることを見いだした(平成4年度の結果)。即ち、低級脂肪酸が筋肉の代謝を活性化し、筋肉にエネルギーをより多く供給する効果をもたらすと考えられる。
そこで、我々は平成5年度に筋肉疲労の回復および筋運動における筋肉の代謝を高める為の栄養供給剤として利用出来るかどうかを調べるためにラットを用い、1)牛乳飼料で飼育したラットの血清中のbutyric acidの濃度はどの様になっているのか? 2)butyrateを摂取後、血液中のbutyric acidの濃度はどの様に変化するのか?等を検討した。
書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021tvd.html