1993年
著者:上野川修一
所属:東京大学農学生命科学研究科応用生命化学専攻

  • 健康科学
  • 免疫調節・がん

目的

小腸上皮において、絨毛下部に位置する幹細胞は盛んに分裂し、ついで絨毛先端へ移動するとともに分裂能を失い、食物の消化吸収・ホルモン分泌等の機能を担う機能細胞に分化する。小腸上皮の大部分は吸収上皮細胞で、クリプトでは約90%、絨毛では95%以上を占めている。吸収上皮細胞は絨毛先端方向へ移動すると共に高度に分化して、栄養素の吸収、異物の代謝等を担う。我々は小腸上皮細胞株IEC-6が通常培養中にconfluentに達すると分化することを報告してきた。この細胞の分化は小腸上皮における消化・吸収を担う機能細胞形成の研究に非常にいいモデルである。このモデルをつかうことにより小腸上皮細胞の増殖と分化を制御する因子は何か、またその因子によりどのような現象が誘導されるのか、もしそのような因子が食品の中に存在するのか、などの問題を明らかにするのに貢献するものと思われる。今回の報告ではIEC-6を用いて乳成分中の増殖と分化を制御する因子の探索し、この因子が細胞の増殖、分化及びapoptosisと関連がある老化などの機能を持つ機能性を注目して本研究を行った。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021tvd.html

2015年9月18日