1993年
著者:藤田拓男
所属:国立療養所兵庫中央病院

  • 健康科学
  • 各ライフステージ

はじめに

日本人の栄養生活、ことにカルシウムの摂取の上で、牛乳の役割りの重要性はいうまでもなく、カルシウム摂取が諸外国に比べて著しく少いのは、牛乳の使用量が少ないからであるといわれている。実際にカルシウムの摂取量は牛乳の飲用量ときわめて高い相関を示し、牛乳をあまり飲まない人はカルシウムの摂取が少なく、牛乳を沢山飲む人は比較的充分にカルシウムを摂っている。しかしながら、栄養調査によって現在どれだけの牛乳を飲んでいるかが、かなり正確にわかったとしても、これが一生を通じての摂取量、即ち、骨粗鬆症の発生に最も重要な影響を与える総カルシウム摂取量とどの様な関係にあるかを明らかにしない限り、正しいカルシウム代謝の評価をしているとは限らない。このことが、カルシウムの摂取量と骨粗鬆症の発生の聞に、必ずしも強い相関関係があるわけではないという従来の報告の背景ではないかと考えられる。このため本年度の研究では、7日間の食事記録に基づいた現在の牛乳摂取量、カルシウム摂取量の他に、過去の牛乳摂取歴についても直接問診によって調査を行い、これと現在のカルシウムの摂取量とを比較し、牛乳飲用の習慣が一生の間にどの様に変って行くかを推定するとともに、これと現在の骨量との関係を検討し、閉経前の群と閉経後の群に分けて現在及び過去の牛乳の摂取と骨量の関係をしらべた。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021tvd.html 

2015年9月18日