1993年
著者:井上哲郎
所属:浜松医学大学整形外科

  • 健康科学
  • 各ライフステージ

目的

我々は運動負荷によってどのような骨量変化を生ずるかについてラットを用いた動物実験を行い検討してきた。その概略を次に記す。両側の卵巣を摘出して作製した実験的骨粗鬆症モデルラットによる実験では、低カルシウム食で飼育した骨粗鬆症モデルラットに運動を負荷しでも有意な骨量増加は得られず、高カルシウム食を与えて運動負荷を行ったラットにおいて有意の骨量増加がみられた。この実験結果から骨粗鬆症モデルラットにおいては、単なる運動負荷のみでは骨量の増加は得られず、運動負荷とともに充分なカルシウム摂取が必要であることが証明されている。
さらに我々は、いままでにヒトを対象に牛乳摂取と骨量との関係について、
(1) 閉経前に観察される月経不順期の女性において牛乳の摂取習慣が一日400cc以上の女性ではそうでない女性に比較して骨量が高いこと。
(2) 運動を定期的に行っている女性においてただ単に運動を行っている女性より牛乳摂取習慣をもちながら運動を行っている女性の方がDXA(Dual X-ray absorptiometry)で測定した腰椎骨量が高いこと。
(3) 20才代と70才代とで牛乳摂取量が骨量におよぼす影響を多変量解析により比較すると牛乳摂取量は70才代の女性の骨量に大きく影響すること。などについて明らかにしてきた。
今回これらの結果を踏まえて、新しい骨量測定法である超音波計測法を用いて健常女性の睡骨超音波指標を計測し、牛乳摂取習慣や運動習慣が踵骨超音波指標に与える影響についてcross-sectional studyにて検討した。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021tvd.html 

2015年9月18日