1991年
著者:藤田拓男
所属:国立療養所兵庫中央病院

  • 健康科学
  • 骨・筋肉・体脂肪量調節・運動機能・スポーツ

はじめに

骨粗松症は人口の高齢化とともに、深刻な問題となって来ており、健康で幸福な老年期を過ごすための前提として、此の病気を予防し、高いQuality of Lifeを保つことは、医学の大きな課題であり、栄養学との密接な協力が必要である。ここで日本人の栄養の上で欧米と著しくことなる特色として、牛乳及び乳製品の摂取が少ないことが注目されており、日本における骨粗松症の原因、病態、治療の上に、カルシウムの不足が大きな影響を与えている。最近、骨量の測定法の進歩によって、成長と加齢による骨量の変化、ピーク・ボーン・マス、閉経後及び老年期の骨量の減少の経過を正確に追跡することが可能となった。カルシウムの摂取が既に高い水準に達しl日1,000mg以上であるといわれるデンマークやこれに近いレベルを保つアメリカでは牛乳又はカルシウムの摂取をこれ以上増加させることが骨粗松症の病態に、よい影響を及ぼすか否かについては、疑問を持つ研究者もあるが、ユーゴスラビア、イタリア、日本の様にカルシウム摂取の少ない所では、カルシウムの牛乳による補給を強調する傾向がある。しかしながら、カルシウム摂取の少ない国は疫学及び臨床栄養学の研究においても後進国であることが多く、このために牛乳及びカルシウム摂取の骨粗松症における正確な役割りが充分に検討されていない傾向がある。このために、先づ、骨粗松症の発生の危険の大きい40才から65才の女性について、骨量の測定とともに、栄養調査ことに牛乳の摂取についての調査を行うとともに二重エネルギーX線吸収装置によって腰椎の骨密度を測定し、日本人女性の閉経前後における骨量減少のパターンと、牛乳摂取の影響を検討した。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021ull.html 

2015年9月18日