小児の成人病に対する指導に関する研究(食事指導を含む) -6カ月以降の乳児における母乳とミルクの哺育による血清脂質・リポ蛋白・アポ蛋白の追跡調査-
1991年
著者:大国真彦
所属:日本大学医学部小児科学教室
1)臍帯血および生後の血清脂質の変動
TCは臍帯血-1才まで経時的に上昇しているのに対して(+106.5mg/dl)、HDLCは著明な増加はみられず(+14.4mg/dl)生後1年間のTCの増加はLDLC、VLDLCの増加が主因であることが示唆された。一方、TGは臍帯血-日令5には授乳の開始に伴い著増するが以降は一定の傾向は認めなかった。
2)臍帯血および生後のアポ蛋自の変動
アポAI、A2、C2,C3は臍帯血-1ヶ月まで経時的に上昇するが以降はほぼ一定の値をとる。アポBは臍帯血-3ヶ月までは上昇し以降一定となる。アポEは臍帯血から1才まで大きな変動はみられない。
3)栄養法と血清脂質の関係
母乳栄養主体の母乳栄養群と人工栄養主体の人工栄養群間の血清脂質に注目するとTCは、3ヶ月、6ヶ月共に人工栄養群が有意に高値を示した。従来の報告においてはTCは母乳栄養群の方が高値を示すとするものが多いが今回の我々の結果は全く逆であった。との点については、対象者の母乳、人工栄養の脂質分析、両群間の体重増加率の違い、家族性高脂血症の有無等のより詳細な検討が必要と思われた。また、TGは3ヶ月時には人工栄養群、6ヶ月時には母乳栄養群が有意に高値を示したが、TGは食事性の影響を強く受け、また今回の対象群には検査前の禁乳を強制していないためその意味付けは不明である。HDLCは1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の全ての時点において両群間で有意差を認めなかった。
4)栄養法とアポ蛋白の関係
同様に母乳栄養群と人工栄養群のアポ蛋白について検討した。その結果、3ヶ月時のアポBは人工栄養群が母乳栄養群に比して有意に高値を示したが他のアポ蛋白は両群間で有意差を認めなかた。新生児期、乳児期のアポ蛋白に関する検討は少なしいまだ不明な点が多いが、成人と新生児期では各アポ蛋白の役割が異なるとする報告もあり今后の検討を要すると思われる。また、アポB48、アポB100、アポA-4などの測定を行うことにより新たな知見が得られるものと考えられる。
書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021ull.html
TCは臍帯血-1才まで経時的に上昇しているのに対して(+106.5mg/dl)、HDLCは著明な増加はみられず(+14.4mg/dl)生後1年間のTCの増加はLDLC、VLDLCの増加が主因であることが示唆された。一方、TGは臍帯血-日令5には授乳の開始に伴い著増するが以降は一定の傾向は認めなかった。
2)臍帯血および生後のアポ蛋自の変動
アポAI、A2、C2,C3は臍帯血-1ヶ月まで経時的に上昇するが以降はほぼ一定の値をとる。アポBは臍帯血-3ヶ月までは上昇し以降一定となる。アポEは臍帯血から1才まで大きな変動はみられない。
3)栄養法と血清脂質の関係
母乳栄養主体の母乳栄養群と人工栄養主体の人工栄養群間の血清脂質に注目するとTCは、3ヶ月、6ヶ月共に人工栄養群が有意に高値を示した。従来の報告においてはTCは母乳栄養群の方が高値を示すとするものが多いが今回の我々の結果は全く逆であった。との点については、対象者の母乳、人工栄養の脂質分析、両群間の体重増加率の違い、家族性高脂血症の有無等のより詳細な検討が必要と思われた。また、TGは3ヶ月時には人工栄養群、6ヶ月時には母乳栄養群が有意に高値を示したが、TGは食事性の影響を強く受け、また今回の対象群には検査前の禁乳を強制していないためその意味付けは不明である。HDLCは1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の全ての時点において両群間で有意差を認めなかった。
4)栄養法とアポ蛋白の関係
同様に母乳栄養群と人工栄養群のアポ蛋白について検討した。その結果、3ヶ月時のアポBは人工栄養群が母乳栄養群に比して有意に高値を示したが他のアポ蛋白は両群間で有意差を認めなかた。新生児期、乳児期のアポ蛋白に関する検討は少なしいまだ不明な点が多いが、成人と新生児期では各アポ蛋白の役割が異なるとする報告もあり今后の検討を要すると思われる。また、アポB48、アポB100、アポA-4などの測定を行うことにより新たな知見が得られるものと考えられる。
書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021ull.html