カルシウム摂取と血圧調整機序
1990年
著者:増山善明
所属:東京労災病院
カルシウム(Ca)は血管平滑筋レベルにおいて、収縮に重要な働きを果しているが、経口Ca負荷を行なうと降圧が認められる。初年度は、このように一見矛盾するCaの作用を明らかにするため高血圧のCa代謝に関する国際セミナーを行ない広く意見交換を行なった。昨年度は、高血圧自然発症ラットでは血管反応性の亢進、細胞内カルシウム濃度の上昇、赤血球膜流動性の低下がみられるが、経口カルシウム負荷によりそれらが改善されること(増山善明)、さらに高血圧自然発症ラットおよびDah1食塩感受性ラットで経口Ca負荷による降圧にレニン・アンジオテンシン系の関与が示唆された。また本態性高血圧患者においてビタミンD代謝の異常があり、高血圧発症と食塩負荷時の昇圧に関与するとの報告をした(尾形悦郎)。本年度は、さらに経口Ca負荷を行った際の細胞内Ca貯蔵部位からのCa動員の変化(増山善明)および、経口Ca負荷時の交感神経系への影響について研究したので、これらの点につき個別研究2編を報告する。
書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021u7u.html
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