1990年
著者:大国真彦
所属:日本大学医学部小児科学

  • 健康科学
  • 乳児・周産期・女性の健康
  • 生活習慣病予防

臍帯血-乳児期のフォローアップスタディー

1)臍帯血-3ヶ月までの血清脂質の変動
臍帯血においては、TC、TGは著明に低値なのに対しHDLCは比較的高値を示し、授乳の開始に伴いTC、TGは著明に上昇している。一方HDLCは著明な変化はみられず、この間のTCの上昇はLDLC、VLDLCの上昇によるものと考えられる。
2)臍帯血-3ヶ月までのアポ蛋白の変動
帯血においては、アポBが著明に低値なのに対し、肝臓で合成されるアポCII、C3は比較的多く存在し、アポEはほぼ成人と同じレベルであった。授乳の開始に伴い全てのアポ蛋白の上昇を認め、特にアポB、CII、C3の著明な上昇がみられる。アポCII、C3の変動はTGのそれと同様でありTGリッチリポ蛋白の代謝に関係していると思われる。また、腸管活動、Lipid Transport systemの開始にも関連していると思われる。3ヶ月の時点では全てのアポ蛋白が成人とほぼ同様やや高値となっている。
3)栄養法と血清脂質の関係
1ヶ月、3ヶ月の時点において母乳主体の群と人工乳主体の群の血清脂質について比較すると、1ヶ月の時点においては両群間で差がみられないものの、3ヶ月時ではTC、TGが人工栄養の方が有意に高値を示した。
一般に欧米の報告においてはTCは母乳栄養の方が高値とするものが多く、今回の我々の結果とは逆である。症例数が少ないため今後の検討とする予定。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021u7u.html

2015年9月18日