1989年
著者:本好茂一
所属:日本獣医畜産大学 獣医内科学教室

  • 健康科学
  • 生活習慣病予防
血清コレステロール濃度が、動脈硬化への発生機序への引き金となり冠動脈性心疾患発症との間の関係は、昭和61年度の厚生省実態調査でも、明らかにされている。血清中の、特に低密度リポタンパク質(LDL)-コレステロール濃度を低下させる事は、このリスクからのがれるもっとも有効な方策であり、食物による高コレステロール症の予防や改善は、非常に重要な手段となりうる。多くの食品素材の中でも、特に牛乳には、栄養源以外の合目的性をもった各種活性構造物質が含まれている可能性は大きい。継続的な牛乳脂肪(バター)の多量摂取は、血清コレステロール濃度の上昇を招来するが、同量の脂肪を含むクリームの場合には、コレステロールの上昇は全く認められない事がボランテアによる人間血漿コレステロールで確かめられている。この事実はクリームの表面構造を形成している脂肪球皮膜成分(MFGM)中に降コレステロール作用がある可能性を示唆するものであり、動脈硬化防禦への一助となる可能性を秘めている。今回、クリームおよびMFGMの降コレステロール効果を調べるとともに、MFGMの電気泳動による理化学的検索を行った。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021tkn.html

2015年9月18日