1989年
著者:高野達哉
所属:帝京大学薬学部微生物・病態生化学教室

  • 健康科学
  • 生活習慣病予防

はじめに

牛乳に含まれる脂質、特にコレステロールは、腸管により吸収され、リポタンパク質によって生体内に輸送され、細胞内に取り込まれて生体膜の主要構成成分となる。したがって細胞の増殖時、あるいは細胞内の小胞分化時には、大量のコレステロールを必要とする。血中コレステロール値が底下すると、細胞内のHMG CoA reductase活性が上昇し、コレステロール生合成能が亢進される。また、過剰のコレステロールが細胞内に取り込まれると、HMG CoA reductase活性は低下し、コレステロールの合成が阻害され、細胞内コレステロール値は一定に保たれている。しかし、コレステロール量がさらに低下すると、細胞機能そのものにもいろいろな障害が生じてくる。
それでは、大過剰に細胞内にコレステロールが取り込まれても障害が起こらないのは、どのような機構によって制御されているからであろうか。
本研究は、過剰のコレステロールにより産生されたリポタンパク質が肝細胞ミクロソームで、どのようにして分解されるか、その制御機構につき検討した。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021tkn.html

2015年9月18日