1989年
著者:細谷憲政
所属:国際学院埼玉短期大学

  • 健康科学
  • その他
 人間は、成長期以後は、加齢にともなって、身体的な機能低下ならびに精神・心理的な変化を経験し、生物現象としての屈折点、いわゆる”ふしめ”を通過して、老年期に到る。
女性においては、”ふしめ”の意識は、閉経(平均50.8歳、同年代の50%が閉経する年令は50.4歳)よりも3年以上前に出現するもの(早期群)、閉経と相前後して(2年以内)に出現するもの(通常群)、閉経よりも3年以後に出現するもの(遅延群)に、大別される。一方、男性は、通常の生活を送っている場合には、女性の閉経年齢に相当する50歳前後に“ふしめ"を意識する(通常群)。しかしながら、食事のとり方が不規則であったり、社会生活に悩みが多く、またストレスのたまりやすい人、さらに、健康維持の努力をしていないような、不適切な生活活動を送っている場合には、より早期に43~47歳(45歳前)に”ふしめ”を意識している(早期群)。
このような”ふしめ”の時期は、予備能力の低下や貯蔵能力の低下が、比較的顕著なこともみられるので、微量で必須の栄養素は、容易に、潜在性の栄養素欠之状態marginal mutrient deficiencyに陥ると考えられる。その結果、不定愁訴の出現しやすい”半健康の状態”さらに、感染症や成人病などを誘発する“半病気の状態”に落ち入ることになる。
東京都内の山手のH保健所において、“ふしめ”の健康診断で来所した男女(40-60歳、それぞれ約120名)に、設問用紙を用いて、直接、面接周査をおこなった。特に聴取した内容は、罹病の有無、生活状況ならびに食物摂取状況であり、さらに、血液ビタミン濃度の測定であった。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021tkn.html

2015年9月18日