1988年
著者:鶴純明
所属:防衛医科大学校細菌学

  • 健康科学
  • 免疫・感染防御・アレルギー・がん
悪性腫蕩の治療や予防における環境因子のーっとして食事の果たす役割が注目されるようになってきた。その一つとして長寿地域で習慣的に飲食されている牛乳や乳製品に関して、その摂取による発癌頻度が減少したり、腫蕩増殖が抑えられるという報告もみられる。我々も(昭和62年度委託研究)種々のチーズが種々
のマウスと腫瘍の組み合わせで. 30-70%の抗腫蕩効果のあることを観察している。これらの抗腫瘍効果の機序を検討するために.今回はチーズおよびその含有蛋白であるラクトフェリン、カゼインについての抗腫瘍効果を検討した。
チーズはその摂取期間に応じて、抗腫瘍効果を示し.チーズ摂取により血清鉄値の上昇が認められ、さらにこの血清を移入することにより、腫瘍増殖抑制効果が認められた。また鉄結合ラクトフェリンを静脈内または腹腔内に投与した場合、抗腫瘍効果は認められなかったが、経口投与した場合には抗腫瘍効果が認められた。さらにカゼイン蛋白とチーズの併用では腫瘍増殖抑制率が1週目で41%から68%に2週目では54%から68%にチーズの抗腫瘍効果を増強した。チーズおよびラクトフェリンカゼインの抗腫瘍効果と血清の鉄結合能と相関することから、チーズの抗腫瘍効果はトランスフェリンを介したエフェクターリンパ球の活性化機構による可能性が考えられる。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021rwd.html

2015年9月18日