1988年
著者:小町喜男
所属:筑波大学社会医学系

  • 健康科学
  • 生活習慣病予防

はじめに

牛乳摂取が循環器疾患の発生に及ぼす影響に関しては、従来、欧米諸国を中心に、牛乳より摂取される脂肪と血清中脂肪濃度との関係、虚血性心疾患発生に及ぼす影響が検討されて来た。我々は1975年から1977年にかけて、牛乳摂取と循環器疾患の関連を一部、牛乳の摂取実験も実施して検討したが牛乳摂取量の少なかったその当時では、牛乳、乳製品よりの脂肪摂取が、欧米諸国で指摘されるように循環器疾患に悪影響を及ぼすという成績は得られなかった。
一方、最近にいたり、カルシウム摂取が高血圧の発生、進展に抑制的に働くとする研究成績が欧米諸国を中心に報告されるようになり牛乳よりのカルシウム摂取が、吸収率の高いことも相まって注目を集めるようになった。
また、我国においても、牛乳の摂取量は僅かずつではあるが増加しつつあるとされており、牛乳摂取と循環器疾患の関連について、再検討を加える必要が生じてきた。
そこで、我々が数年ないしは20年以上にわたって循環器疾患の疫学調査を実施してきた地域職域の集団を対象として、牛乳摂取と高血圧、動脈硬化性疾患の関連を疫学的に再検討した。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021rwd.html

2015年9月18日