1987年
著者:山内邦男
所属:東京大学農学部農芸化学科

  • 健康科学
  • 分析・その他基礎研究

目的

牛乳タンパク質は、優れたアミノ酸供給源として我々の健康維持に大きな役割を果たしてきたが、最近、牛乳タンパク質中にはラクトフェリン等、生体内で様々な機能を果たす可能性のある成分が存在していることが明らかになり、優れた天然の機能性食品としての特徴を持つことが示唆されている。一方、ホルモンをはじめとする情報伝達機能を持つタンパク質についての最近の研究の発展にともない、パソプレシン、ニューロテンシン、アンジオテンシン、ブラジキニン等、低分子のベプチドが重要な生理活性を持つことが明らかにされた。このような発見を機に、牛乳タンパク質のうち、従来生理活性は持たないとされていたカゼインの酵素分解ペプチドが注目され、β-カゾモルフィン、α-エクソルフィンを初めとする機能ペプチドが相次いで発見された。これらの研究により、カゼインは様々な機能ペプチドの前駆体ではないかという推測がなされるようになった。そこで我々は新たな機能として細胞増殖促進活性を選び、カゼインの中でもヒトと牛に共通な成分であるβ-カゼインの消化酵素分解物中に細胞増殖促進活性ベプチドを検索することを試みた。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021qu5.html

2015年9月18日