1987年
著者:山本章
所属:国立循環器病センター研究所病因部

  • 健康科学
  • 各ライフステージ

目的

栄養の過剰摂取が高血圧、高脂血症、糖尿病などを通じて、動脈粥状硬化性疾患の進展に寄与して居り、日本もまた西洋先進国並みに虚血性心疾患の増加することが危倶されている。食餌中のコレステロールそれ自体が、血清コレステロールの上昇に寄与することは勿論であるが、総エネルギー摂取量及び飽和脂肪酸、特にラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸といった乳汁中に多く含まれるものが、肝臓でのコレステロール合成を増加させ、血清コレステロールを上昇させるというデータが報告されている。但し、乳汁中には逆にコレステロールを抑える物質もあり、牛乳の形で投与された場合に、コレステロールにどの様な影響を与えるか、日本人を対象としたデータは少い。また、個人の体質が大きな影響を与えていることも否定出来ない。昨年度の研究において、ロングライフ牛乳1本(200ml)/日の余分の摂取は、血清コレステロール値を上昇させたが、他の食品とおきかえに2本/日投与の場合は、対象によってコレステロールの変化はまちまちであった。そこで今年度は、脱脂してエネルギーを糖質で置換えた牛乳を対照として投与し、ロングライフ牛乳投与の場合と比較し、脂肪分の影響を直接観察出来る様な実験を計画した。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021qu5.html

2015年9月18日