牛乳・乳製品の摂取が糖尿病患者の血糖コントロールや合併症発症リスクに及ぼす影響:大規模コホート研究
2021年
著者:大隈 俊明
所属:九州大学大学院医学研究院 病態機能内科学
【要旨】
外来通院中の日本人2型糖尿病患者4,438名を対象に、牛乳・乳製品摂取と血糖コントロール、メタボリック症候群、高血圧、肥満、脂質異常症や慢性腎臓病などの心血管病危険因子との関係を横断的に検討した。メタボリック症候群のオッズ比は、牛乳・乳製品摂取量の増加ととともに有意に低下した。四分位点をもとに4群に分類して求めた多変量調整後のオッズ比は、第1分位を基準とし、第2分位0.92(95%信頼区間0.77-1.10)、第3分位0.73(0.60-0.89)、第4分位0.76(0.63-0.92)であった。同様の関係性は慢性腎臓病においても認められた(傾向性P<0.01)。一方で、LDLコレステロール高値を有するオッズ比は、牛乳・乳製品摂取量の増加とともに有意に上昇した(傾向性P<0.01)。HbA1c高値との間には有意な傾向性はみられなかった(傾向性P=0.84)。以上の結果より、わが国の2型糖尿病患者において、牛乳・乳製品摂取量は、心血管病危険因子に影響する因子であることが示唆された。