子どもの学校給食以外の昼食における食生活の改善ならびに 牛乳摂取の習慣化に向けた試み
2019年
著者:柴田 奈緒美
所属:岐阜大学 教育学部
研究成果の概要
小学校に在籍する児童の保護者を対象とし、5月特定の土日および夏休み中の任意日における子どもの昼食に関するアンケート調査を実施した。本研究は食事をした場所に着目し、食事場所ごとの食事内容や栄養価計算の算出、そして昼食時に飲んだ飲料について分析を行った。また、子どもの食生活は保護者の食意識が反映されることが明らかとなっているため、土日を対象とした調査において、保護者の食意識に関するアンケート調査も併せて実施した。その結果、カルシウムは全ての場所において摂取不足であること、品数を多く摂取可能な「自宅」、「祖父母・友人宅」、「レストラン」、「学童」では食塩相当量が特に過剰に摂取していること、「公園」や「習い事」、「学童」では、野菜を含む調理品を摂取しにくい場所であることや、1回の食事量が少ないことから、食物繊維摂取量が少ない傾向であることが明らかとなった。また、乳製品を利用した手作りの調理品の種類が少なかったことから、カルシウムの摂取量を増加させるには、乳製品を利用した主菜や副菜など調理品の幅を広げる手助けが必要であることが示唆された。保護者の食意識に関する調査からは、食育への関心が高いと、栄養バランスを考えた献立作成を行っている割合が有意に高く、子どもへのマナーの指導や雰囲気作りを積極的に行っていることが明らかとなった。すなわち保護者の食育への関心を高めることにより、家庭での食生活の質を向上させることが出来ると期待される。しかし、栄養バランスを考えた献立作成の意識の高さと、牛乳・乳製品を摂取した人の割合に相関が見られなかったことから、乳製品の摂取は保護者の食意識の高さのみに依存するのではなく、家庭での食生活の習慣が影響を及ぼすことが推察された。以上の分析結果から、読者に保護者を想定した『アンケート調査の結果&改善案の提案』と、読者に子どもを想定した『作ってみよう!カルシウムたっぷりレシピ』の2部構成とした冊子を作成し、配布した。
1 研究目的 |
(2) 酪農教育ファームの活動はSDGsの目標等に照らし合わせ、SDGsの17の目標あるいは、169のターゲット(以下、下位目標とよぶ)にせまる活動となりうるのかを検討する。このことを通して、SDGsという視点から酪農教育ファームの活動を再評価する。
(3) 上記(1)(2)を踏まえて食育の新たな視点を見出した牛乳・酪農教育ファームに関する新たなコンテンツを開発する。
2 研究内容 |
① 牛乳並びに穀物、野菜、果物、畜産物、魚介類、乳製品を対象に、複数の教科でまんべんなく扱われているのか。また、それらの食材の栽培・収穫等、流通、食材の栄養価、食材に関わる文化・地域特性などを取り入れているのかを検討した。こうした中で、牛乳は栄養という側面から他の食材とは異なる扱いを受けていることが想定できる。
② 牛乳の生産現場である酪農家の取り組みを学習材としてきた酪農教育ファームをSDGsの視点から見つめなおす(2021年度研究からのひきつぎ)。
(2) 教科での指導と学校給食での指導を積極的に取り入れた(カリキュラムマネージメントを積極的に行い、教科横断的な扱いを積極的に取り入れていく)食材としての牛乳・酪農教育ファームの新たなコンテンツ開発を藤本が主に行った。
3 研究結果(研究で導きだされ分かったこと) |
(2) 複数の教科等並びに給食指導を取り入れた食育のコンテンツ開発
牛乳を扱った社会科、特別活動の学級活動③(キャリア教育)、道徳科を通しての「働くこと」を考える学びを構成した。これまでの食育では、「感謝」という側面から食材の生産現場をとらえて扱ってきた。そこに、食材を生産することに生きがいをもって働いている酪農家の生きざまから、子供が消費行動だけでなく、自らの生き方をも考える教材とした。
- キーワード:
- 教科教育学理科教育方法学野外教育