2018年
著者:林原 好美
所属:常葉大学 健康プロデュース学部

  • 食育・教育
  • 成人

研究成果の概要

【目的】
 ①普段の食事における塩分摂取量を確認し自身の食生活を見直すきっかけとする、②乳の栄養講義からその有用性、乳を使った食事を試食し、その美味しさを認識する、③②を実施した24時間尿中塩分排泄量を①と比較し、減塩効果を認識する、④この体験と知識から意識改革と地域住民に広める行動変容につなぐことである。

【方法】
 通常の食生活と乳と野菜を使った1回の食事を含めた場合の24時間畜尿から推定した1日あたりの塩分摂取量を対応のある t検定にて比較した。乳の栄養の有用性について講義を行い、意識変容の有無を確認した。

【成果】
 通常の食生活に比して、乳と野菜を使った食事をした場合、塩分排泄量に有意差はなかった。減塩効果に有意差がなかったのは、対象者が食生活改善推進員であること、健康意識の高い地域住民が被験者であったことから普段より減塩している食生活であったことが影響した可能性がある。乳の有用性と減塩に関する講義では、全員が「さらに知識が深まった」「今後の生活に取り入れようと思う」と回答した。調査参加後の変化について、野菜の積極的使用について、自らや家族に対しては「特に何も変化はない」が80%、「積極的使用を考えるようになった」が20%だった。「特に何も変化はない」と答えたものは、家庭菜園を行っている、農家で野菜が豊富にある環境にある者であるか、食生活改善推進員として活動し、野菜の積極的使用を心掛けている者であった。2割の「積極的使用を考えるようになった」者においては、青野菜を積極的に購入するようになったと答えている。普段から野菜を食している地域住民に対しては「特に何もしていない」が6割だった。その理由に新型コロナウィルス感染拡大により地域活動は難しい、ボランティア活動をしていないとあげていた。3割が6か月以内に地域住民に積極的使用を働きかけようと思うと回答した。これも新型コロナウィルス感染拡大が沈静化するまで活動できないとしたためと考えられる。
 一方、乳・乳製品の調理への積極的使用について、自らや家族に対しては、「積極的使用を考えるようになった」が8割だった。地域住民に対しては、野菜の場合と同様であった。これらの結果から、この度の体験と知識習得により調査参加者の意識改革はできたと考える。また、地域住民に広める行動変容においては、新型コロナウィルス感染症の社会情勢により、確かめられなかったが、沈静化して地域活動が再開された際の彼らの行動を観察していきたい。


研究分野:食と教育
キーワード:
食教育地域ボランティア乳・乳製品野菜 減塩 24時間畜尿

2022年8月23日