2018年
著者:小西瑞穂
所属:東京成徳大学応用心理学部

  • 食育・教育
  • 乳幼児

研究成果の概要

牛乳アレルギーの患者は長期間に渡って、牛乳*をほとんど摂取しない生活を送る。特に幼児期から学童期にかけて徐々に耐性獲得をしていく子どもが、これまで除去をしていた牛乳の味や食感などに慣れなかったり、アレルギー症状の発症への不安から牛乳自体への拒否感が強まって摂取できなくなることが臨床場面で散見される。
本研究では牛乳アレルギーの治療経過中に生じる心理的要因により、牛乳を摂取できない牛乳アレルギーを心因性牛乳アレルギーとし、その形成過程を明らかにし、その治療プログラムと評価尺度の作成を目的とした。そこで、牛乳アレルギー患者の保護者178名を対象に実態調査を行った。その結果、他の原因食物と比較してアレルギー症状を起こした経験回数が多く、牛乳を摂取することへの恐怖感も大きかった。また、子どもが牛乳アレルギーであると保護者が気づく前に牛乳そのものの味や匂い、食感、触感に対する拒否感を示す子どもが一定数いることも明らかとなり、心因性牛乳アレルギーが形成されやすい可能性が示唆された。さらに、就学前後の4~7歳頃にアレルギー症状発症への恐怖感や不安と関連した牛乳に対する嫌悪感が子どもたちに生じ始めることが明らかになった。以上より、牛乳に対する嫌悪感の形成を防ぐことを目的に、4~7歳を対象とした全8回のプログラムと各回に対応したワークブックとプログラム評価尺度として牛乳アレルギー治療に対する不安・負担感尺度を作成した。
*本報告書での「牛乳」という表現には「乳製品」を含む
研究分野
臨床心理学

※2018年度「食と教育」学術研究
キーワード:
牛乳アレルギー子ども心因性牛乳アレルギープログラム 評価尺度

2024年2月29日