研究成果のご紹介「社員食堂給食のNa, K量と、低Na/K比調味料と乳製品の使用による高血圧予防を目的とした食餌性Na/K比の改善」(岡山明先生・奥田奈賀子先生 他)
2024年6月18日
2022年度「牛乳乳製品健康科学」指定研究として実施された「牛乳とナト・カリ食による給食介入試験」(研究代表者は生活習慣病予防研究センター代表で牛乳乳製品健康科学会議幹事の岡山明先生)の研究成果の一部が、Nutrientsに原著論文として受理され、公開されましたのでご紹介いたします。
Nutrients 2024, 16, 1433
[PMID: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38794671/
DOI:https:// doi: 10.3390/nu16101433]
【論文タイトル】
Na and K Intake from Lunches Served in a Japanese Company Cafeteria and the Estimated Improvement in the Dietary Na/K Ratio Using Low-Na/K Seasonings and Dairy to Prevent Hypertension.
【要約】
ナトリウム(Na)の過剰摂取とカリウム(K)の摂取不足は高血圧予防における大きな問題である。低Na/K比調味料(NaClを25%低減しK塩を強化したもの)の使用は、食餌性Na/K比を改善し高血圧予防に有用である可能性がある。低Na/K比調味料を用いた介入研究の社員食堂での実施に先立ち、社員食堂で提供される献立中のNa, K含有量を計算し、これに低Na/K比調味料を使用した場合のNa, K量を推算した。Kの有用な供給源である牛乳の利用も考慮した。社員食堂の献立・食材リストを入手し、料理ごとにNaとKの含有量を計算した。食堂利用1回あたりの平均のNaCl及びK量はそれぞれ5.04g及び718mgであった。NaClの70.9%は調味料に由来していた。低Na/K比調味料の使用により、一日あたり0.8gの減塩と308mgのK増加が可能であった。さらに牛乳200mLを追加すると0.57gの減塩、610mgのK増加となり、食餌性Na/K比(mmol/mmol)は3.20から2.40に低下した。低Na/K比調味料と乳製品の利用は社員食堂利用者の食餌性Na/Kを改善し、高血圧の予防に役立つ可能性がある。
※本研究は2022年度「牛乳乳製品健康科学」指定研究によりおこなわれたものの一部をまとめたものであり、研究全体の報告書の公開は後日となります。