2014年
著者:石井 智美
所属:酪農学園大学

  • 社会文化
  • 文化人類

要旨

今日ユーラシアの西側の食は「小麦と肉」、東側は「米と魚」が主であるといわれることが多い。
カザフスタンとブータンはユーラシア東西の緩衝地帯ともいうべき位置にあり、乳と米を利用しているが、その食に関する報告は少ない。調査の結果、カザフスタンの家庭では、飼っている家畜の種類、頭数、乳製品の消費量は多くはないが、遊牧民の末裔として乳に対する嗜好性は極めて高く、搾乳はウシが中心であった。米は単独の白飯としてではなく、プロフ、ミルク粥など1品で喫食されていた。乳と米が一緒に用いられている料理がミルク粥で、特に朝食で食べる頻度が高かった。ブータンの家庭で飼われている家畜もウシで、より標高の高い地域ではヤクだった。搾った乳をそのまま飲むことはなく、乳脂肪製品のマー(バター)、非熟成性タイプのチーズのダツイをつくっていた。ダツイは、大量の唐辛子と共に毎日の料理に利用され、重要な蛋白源だった。ダツイ中の豊富なアミノ酸が料理に旨味を付与し、在来種である赤米を大量に食べる食生活にもかかわらず、塩分摂取量が多くはならないのだった。マー、ダツイ、干肉入りの粥がよく食べられ、ヤク乳のダツイ、ヤクの肉が入ったものが最上であった。「乳と米の融合」という観点から、両地域でつくられているミルク粥は、栄養的に完成度の高い2 つの食品を用い手早くつくることが出来、栄養的にも優れた料理であった。戦後の学校給食で、米飯に牛乳がついた食事に馴染んだ世代が多くなっている我が国において、新しい「乳と米の料理」として、日本式の「ミルク粥」が今後身近な料理となる可能性があると考えた。
※平成26年度「乳の社会文化」学術研究

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2016年4月15日