2013年
著者:亀井康富
所属:京都府立大学生命環境科学研究科分子栄養学研究室

  • 健康科学
  • 各ライフステージ

要旨

本研究では、GPAT1遺伝子に関する解析をモデルとして、胎仔期(妊娠期)-新生仔期(授乳期)-成獣期の仔マウスの肝臓におけるGPAT1遺伝子の発現制御の分子機構を検討した。その結果、GPAT1遺伝子はDNA メチル化を介して転写因子SREBP1cによる発現制御を受け、かつ母マウスの栄養条件によってDNAメチル化が変動することが示された。さらに、胎仔期-新生仔期においてビタミンDなどの影響により確立された肝臓のDNAメチル化状態が成獣期まで維持されるのか否か、これが栄養環境により変化するのか否かを検討するため、妊娠期-授乳期の母マウスにビタミンDを投与したところ、母マウスの体重減少および産仔の食殺が生じた。そこで新生仔肝臓の初代培養を用いてビタミンD 投与により発現変動およびDNA メチル化変動する遺伝子を網羅的に解析した。複数の遺伝子のDNA メチル化変動が認められ、ビタミンDによる新たな遺伝子発現制御機構の存在が示唆された。しかし、DNA メチル化変化と遺伝子発現変化に明らかな相関は認められず、これまで考えられて来た様式に加え、何らかの付加的な制御機構が存在することが示唆された。

書籍ページURL
https://j-milk.jp/report/paper/alliance/berohe000000jgmy.html

2015年9月18日