2007年
著者:清水誠
所属:東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命化学専攻

  • 健康科学
  • 各ライフステージ

要旨

腸管の炎症反応を制御する食品因子を牛乳中に探索するための新規in vitro実験系について検討した。本実験系では、腸管上皮細胞が炎症時に分泌するインターロイキン-8 (IL-8)に注目し、①ヒト腸管上皮細胞株Caco-2が各種ストレスに応答して分泌するIL-8量の測定、②IL-8分泌を調節しているIL-8遺伝子の転写活性ルポーターアッセイによる測定、の2つを指標とした評価系を用いた。その結果、乳に含まれるアミノ酸であるタウリン、抗菌性タンパク質として知られるラクトパーオキシダーゼ、ある種の微生物酵素で消化したホエイタンパク質分解物に、炎症反応充進下でのIL-8分泌の抑制、非炎症状態でのIL-8分泌の増強などの作用が見出された。一方、IL-8遺伝子の転写活性制御を指標としたレポーターアッセイを用いた機能性成分検出の試みに関しては、乳タンパク質分解物にある程度の制御活性を見出すことが出来たが、その検出感度は充分でなく、このような手法で機能性因子を探索するためには、アッセイ用細胞の構築法や測定可能な食品成分の範囲などに関するさらなる検討が必要と考えられた。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p000001a9vl.html 
キーワード:
腸管炎症Caco-2インターロイキン-8レポーターアッセイ

2015年9月18日