2002年
著者:神田知
所属:武庫川女子大学生活環境学部

  • 健康科学
  • 各ライフステージ

要約

兵庫県在住の中高齢者を対象として10週間に及ぶ運動・栄養介入研究を実施した。その結果、運動のみを用いた介入群では収縮期血圧値の有意な低下、及びHDLコレステロール値の増加を認めた。更に、基礎代謝量の亢進、及び大腿四頭筋群・握力の向上が確認された。また、運動介入に加えて乳製品(発酵乳)や大豆タンパク質(イソフラボンを含む)を中心とした栄養介入を行ったグループでは、収縮期・拡張期血圧値ともに5週目より顕著な低下が認められた。血清総コレステロール値では運動グループ同様、10週間の介入期間においては低下の傾向にあるものの有意な差を得るにはいたらなかったが、HDLコレステロール値においては運動と栄養の相互介入により5週間、10週間後において顕著な増加の傾向を認めた。さらに、筋肉量、除脂肪量の増加、及び基礎代謝量の有意な増加やさまざまな筋力の向上が認められ、運動と栄養介入を併合して用いた群でより顕著に確認された。このことから、中高齢者であっても日常の生活習慣の中に個々の体力に見合った運動を継続的に取り入れ、大豆タンパク質や乳製品の積極的な摂取により、栄養生化学的効果としては、血液中の脂質プロフィールを積極的に改善し、降圧効果が期待でき、運動生理学的効果としては、安静時基礎代謝量の亢進による肥満の予防、特に下半身を中心とした筋力の増加やバランス機能向上による転倒やつまずき予防の可能性が示唆された。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021dl2.html
キーワード:
中高齢者体力増進発酵乳大豆タンパク質

2015年9月18日