1998年
著者:広田孝子
所属:辻学園栄養専門学校中央研究室

  • 健康科学
  • 各ライフステージ

はじめに

受験の激化や低年齢化、飽食、ダイエット情報の氾濫など、ライフスタイルの変化とともに現代人の食生活は急激に変化し、子供の非行、いじめ、自殺、犯罪など数々の問題点が露見しつつある。これまでのわれわれの研究結果から、骨密度の急上昇は初経発来頃にあること、思春期における栄養摂取や運動量がより高い骨密度の獲得に影響を及ぼしている可能性が示唆された。従って、思春期から青年期にわたる食生活やライフスタイルは一生の骨密度を決定する重要な因子と考えられる。しかし近年、子供たちの食生活やライフスタイルの乱れ、また犯罪、健康障害、骨折の増加が問題となっており、その原因は明らかでない。また若年者におけるカルシウム摂取不足も一層深刻である。平成8年度の厚生省による国民栄養調査では、10才代及び20才代(女性は30才代も)のカルシウム充足率は最も低い。
我々はこれまで正確な食事調査の実施が困難と考えられていた子供たちを対象とし、子供にも簡便に使え、かつ正確な情報を得ることのできる食生活調査の方法として、ポケットカメラによる食事調査法を考案した。まず予備調査として、子供たちにポケットカメラを与え、食べたものすべてを撮影してもらい、その写真から栄養価計算を行った。それと同時に栄養士である母親による食事記録法も平行し行ったところ、ポケットカメラによる食事調査法における正確性(記録法との誤差の平均は9%)が確認された。
そこで今回、不規則な食生活を送りがちな塾通いの小中学生(塾生)と受験校である私立の中高校生(中高生)、健康よりも外見に関心が高い服飾専門学校生(服専)及び栄養に関心の高い栄養専門学校生(栄専)の現代生活を反映する典型的な4つのグループの若者を対象にポケットカメラ法による食事調査を行い、彼女たちが日頃どのような食生活を送っているのか、いかなる食品が頻繁に利用されているのか「各栄養素の充足率はどれくらいで、日本の若者にカルシウムがなぜ充足されにくいのか等調査し、思春期及び青年期の栄養素摂取状況、食生活の実態などを明らかにし、また同時に援骨の超音波法による骨量測定も行った。可能な限り同一人物の経年変化も追った。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021epa.html 

2015年9月18日