1993年
著者:香川芳子
所属:女子栄養大学

  • 健康科学
  • その他

緒言

他の東南アジア同様日本も中国も伝統的な搾乳や乳食文化のない地域であるが、欧米諸国は、古くからの文化をもち現在の乳消費量はかなりの量である。近代になり日本はこの文化を受入れ欧米諸国に及ばないまでもかなりの乳食文化をもつようになったのに対し、中国では現在も乳食文化の導入が進んでいない。沖縄県は日本文化と中国文化の交流地点である。位置的には伝統的乳食文化のない地域であるが、沖縄文化には戦後のアメリカ統治によってアメリカ文化が急激に浸透し乳食文化も導入された地域であると考えられる。農林水産省「牛乳・乳製品統計(平成2年度)」より算出した1人1日当たりの飲用牛乳消費量のデータをみると、沖縄県は全国第37位と、非常に飲用消費量の低い県であるとされている。しかしながら、昨年までの牛乳・乳製品の摂取調査の結果を見ると、必ずしも沖縄県民の乳の摂取量は少ないとは言い切れず、逆にかなり多く感じられた。
これを確認するため、昨年同様、摂取調査、市場調査を行なう他本年は購買調査も実施し、さらに多角的にそれぞれの観点から沖縄県の乳・乳製品の浸透度と消費実態をまとめることとした。
実施した調査は以下の通りである。
第1に沖縄県に在住している華僑の家庭を対象に牛乳・乳製品の摂取の有無、量、飲用履歴などの摂取調査を行なった。
第2に沖縄県は牛乳の種類が豊富で牛乳を扱う店が多いという事実をもとに、購入量、購入方法、購入場所などを調査する購買調査を行なった。
第3に沖縄県において牛乳を取り扱う店で一店舗当たりの牛乳の種類や数量がどの程度かを調査するために市場調査を行なった。
なお、上位の県とは実際どの程度の差があるのかを調べるために第2位である東京都において、同条件、同方法で調査し、比較することにした。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021tvd.html

2015年9月18日