1992年
著者:村田光範
所属:東京女子医科大学第2病院小児科

  • 健康科学
  • 各ライフステージ

幼児肥満が問題になる背景と研究の目的

a 肥満が問題になる背景
肥満が動脈硬化促進危険因子(以下、単に危険因子)の1つであることは、現在では議論の余地のないところである。この肥満が小児期にも多数見られるようになり、実際に肥満に合併する多くの異常が報告されるようになったことが、最近、小児期の肥満が問題になっている背景である。
b 研究の目的
以上のような背景から厚生省は平成2年度から保健所における3歳児健診を基盤に「小児肥満予防教室」を開き小児の肥満の予防に力を入れることになった。小児肥満の基本的な対策は幼児期から始めなくてはならないことはよくわかっていても、具体的にどのような対策を講じればよいのかが関係者に十分理解されていないことから、この「小児肥満予防教室」は実際にはまだ行政レベルでの事業として普及していないのが現状である。そこで幼児期の肥満予防の具体的な指導・管理について研究し、「小児肥満予防教室」が正しいかたちで普及することを目的にしている。
平成4年度は指導・管理を要する幼児肥満の選別方法について研究を行った。
すでに述べたように幼児肥満対策が必要な理由は、学齢期以後の肥満は多くの場合幼児期から引き続いてのものであり、幼児期に肥満の発症を予防しておかない限り、常にできあがった肥満を学齢期に入ってから指導・管理することになり、いったんできあがった肥満を是正することはきわめて困難であることが知られているからである。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021uzy.html

2015年9月18日