1991年
著者:小林修平
所属:国立健康・栄養研究所

  • 健康科学
  • 各ライフステージ

研究目的

高脂血症、糖尿病などエネルギー源栄養素の代謝に関連した疾病の予防、治療における運動の役割が近年注目されている。本研究プロジェクトにおいては、これまで激しい有酸素運動を行っている長距離ランナーと、無酸素運動のなかでも高強度・低頻度で運動と運動の間のインターバルが長いトレーニングを行っているウエイトリフターの脂質代謝に関し、同年齢層の一般男性(非肥満者と肥満者)を対照として検討した。その結果、血中の総コレステロール、中性脂肪の濃度には3群関に差はみられなかったが、HDLコレステロールは一般人に比べてランナーが高く、ウエイトリフターでは一般人(非肥満者)よりもむしろ低く、一般人(肥満者)と同水準であることが明らかになった。ウエイトリフターのHDLコレステロールが低かった理由としては体格指数(BMI)が高いこと、日常の有酸素運動の不足が考えられた。そして、有酸素運動は無酸素運動に比べて、血中脂質・リポ蛋白プロフィールの改善効果が顕著であり、BMIが高い肥満者は血中脂質・リポ蛋白プロフィールが動脈硬化を促進する傾向にあることを明らかにした。
スイミングはランニングとともに有酸素運動のうちでもポピュラーなスポーツの一つであるが、その高脂血症、糖尿病などと深い関連があると考えられる脂質や糖質の代謝に及ぼす影響についてはほとんど研究が行われていない。そこで本年度においては、中高年スイマーを対照として、身体的特徴、呼吸循環機能、及び日常の栄養摂取状況と係わるエネルギー源栄養素のうち、とくに脂質の代謝的特徴を血中脂質・リポ蛋白プロフィールについて、従来から我々が研究対照としてきたランナー、一般人との対比で検討し、スイミングトレーニングの成人病予防と健康増進の効果を明らかにする。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021ull.html

2015年9月18日