1991年
著者:内藤周幸
所属:帝京大学医学部

  • 健康科学
  • 各ライフステージ
牛乳にはコレステロールの合有量は少ないが、飽和脂肪が多いために、従来牛乳飲用は血漿コレステロールを上昇させるという考え方が一般的であった。しかし一方、牛乳中には血漿コレステロールを低下させる物質が含まれて居り、牛乳摂取によって血漿コレステロールはむしろ低下するとの成績も見られ、牛乳摂取の血疑コレステロール濃度に対する影響についてはなお問題が残されていた。そこで我々は、19歳の健康女性〔寮生活を行っている東京逓信病院看護学院生徒〕の協力を得てrandomized controlled studiesを行ない、1日400mlの全乳の摂取では、長期的(8週以上)には血漿コレステロールには何等影響を与えないことを見出した。短期的に見られた血漿コレステロールの軽度の上昇は、牛乳摂取に伴った過剰カロリーによるというよりは、牛乳中の脂肪によると考えられた。また牛乳中に特に血漿コレステロールを低下させる物質の存在は見出すことはできなかった。
そこで更に中年以上の女性の高脂血症患者〔東京逓信病院看護婦〕について1日牛乳400ml摂取の血漿脂質レベルに対する影響を検討したが、高脂血症患者についても、1日牛乳400mlの摂取は血漿コレステロール・レベルに何等影響を与えなかった。
そこで平成3年度は牛乳摂取量の血漿コレステロール・レベルに対する影響を見るために、前回(平成2年度)協力が得られた高脂血症患者(東京逓信病院看護婦)のうち今回も協力が得られた2名及び新たな1名を加えた3例について以下の計画で実験を行った。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021ull.html

2015年9月18日