1988年
著者:折茂肇
所属:東京大学医学部老年学

  • 健康科学
  • 各ライフステージ
近年,社会の高齢化とともに「寝たきり老人」の増加が重要な社会問題となっており,その原因として骨粗鬆症が注目されている。骨粗鬆症の成因には,加齢・閉経・遺伝的因子・内分泌的因子・栄養学的因子・環境因子など多くの因子が関与しているが,その中でカルシウム摂取は重要な因子であることが知られている。
日本人のカルシウム(Ca)摂取量は,近年増加してきたが,欧米人に比較すると非常に少ない現状である。さらに加齢と共に小腸からのCa吸収は低下し,結果として骨粗鬆症を来たす一因となると考えられる。厚生省が提唱している日本におけるCaの成人一日所要量は600mgとされているが,閉経及び加齢による骨粗鬆症の発症や加齢にともなうCa吸収能の低下を考慮すると,老齢者にとって必要な一日Ca摂取量はより高い水準にあると推測されるが,老齢者にとって必要なCa摂取量は検討されていない。そこで我々は老齢者においてCalcium balance studyを施行することにより老齢者の一日Ca必要量recommended daily allowance (RDA)を推定したので報告する。さらに,種々の食物におけるCaの吸収度についてもpilot studyを行い検討したので,併せて報告する。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021rwd.html 

2015年9月18日