1986年
著者:梶本雅俊
所属:国立公衆衛生院栄養生化学部

  • 健康科学
  • 各ライフステージ

はじめに

筆者はこれまでに人間の長期にわたる食生活の結果、食習慣や栄養の偏りが健康指標にいかなる影響を与えるのか検討してきた。またその結果から保健活動や食教育を行ない健康指標がどうなるのかの未来予測も試みている。その内で野外調査結果と造血機能に着目し、関連を持つと思われる諸因子間の相互関係を明らかにする目的で簡易栄養調査を改良し、個人別栄養調査に国民栄養調査食品類別荷重平均成分表89群を用い栄養調査をしてきた。また都市部、農村部の老人住民に対し栄養調査を行ない比較し、食習慣、食品群品、および摂取栄養量の評価が健康指標(特にδ-アミノレブリン酸脱水酵素(ALAD)活性)にいかなる影響を与えるのか予測を試みている。こういった要素を含め、運動の習慣の有無、造血指標、および肝機能を主体とする諸種の同じ測定項目を繰り返し実施することによって、人体の持つ生理的・形態的計測値がどの程度の恒常性を保っているものであるか、または変動性をもっているものであるかもしらべ、もし後者に寓する計測値があれば、それに影響を及ぼす因子とくに栄養摂取・食習慣のかたよりや、1-2回だけ行なった栄養指導の効果がどのように現われてくるものであるかを明らかにすることでもある。今回は将来の食教育ネットワーク等、個別化サービスの方向や21世紀への食生活のありかたを模索する端緒として以下の1.老人、2.成人、3.青少年の食習慣と特に乳製品摂取量と造血能の野外応用研究を手掛け、過去のデータの比較と、まとめを試みた。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/commission/9fgd1p0000021qen.html

2015年9月18日