2015年
著者:野口 穂高
所属:早稲田大学 教育・総合科学学術院

  • 食育・教育
  • 学童

概要

 本研究は、大正末期から昭和初期にかけて東京市で実施された「牛乳配給事業」及び関連する児童保護事業について、その実態や特質、意義を明らかにしようとするものであった。
 本研究を通じて、東京市による牛乳配給事業と児童保護事業に、以下の特徴があることが明らかになった。第一に、乳幼児から成人までの幅広い支援を目指す市の児童保護事業において、牛乳配給事業は、乳児と幼児の健康増進に直接的に貢献するものであった。また、主として母親らを対象に、成人向けの教育支援も実現していた。第二に、牛乳を無償で配給することで、市の事業を通じて健康や育児に関する知識を得た保護者らが、その知識を実際の生活で活かす機会を保障する役割も果たしていた。このように、牛乳の配給によって、栄養や育児に関する知識を、市民の生活の場において実践することを直接的に援助したことは、他の知識伝達型の事業とは一線を画すものであった。
 
研究分野
教育史、教育学、社会福祉史

※平成27年度「食と教育」学術研究
キーワード:
牛乳配給事業児童相談所栄養食供給給食

2018年3月13日