研究成果のご紹介「日本の酪農乳業産業史における特質」(和仁皓明先生)
2021年4月14日
西日本食文化研究会 主宰 乳の社会文化ネットワーク幹事の和仁皓明先生が「酪農乳業史料収集活用推進委員会」の研究成果および乳の社会文化ネットワークでの「乳の日本食文化への融合プロジェクト」の討議から得られた成果をショートレビューとしてまとめられた論文が公開されておりますので、ご紹介します。
【誌 名】学会誌ミルクサイエンス Vol. 68
【タイトル】日本の酪農乳業産業史における特質
【論文URL】https://www.jstage.jst.go.jp/article/milk/68/3/68_198/_article/-char/ja
【論文紹介】
数千年の歴史を経てきているユーラシア大陸起源の牧畜国家における酪農文明に比べ,我が国の場合は19世紀後半産業革命が終了して国際的に国家経済が近代化しつつある時期での導入であり,酪農先進諸国の中でも当時すでにかなり工業化の進んでいた米国からの技術導入であって,そこに牧畜国家における酪農文明の展開とは異なった技術および乳食文化の様式展開に本邦独特の特殊性がみられる。
一方、現状の国際的な食料経済の進展を予測すると,日本の酪農乳業は,必然的にグローパル経済に組み込まれて行かざるを得ないように見える。そのなかで日本独自の酪農乳業の独自性を維持するためには,生産消費の両面にわたって日本の風土に融合した,乳食の文化を築き上げる必要がある。
食には栄養という機能性と美味しさという感性に依存する文化性の両面を備えている。現代の酪農乳業に携わる人々は,乳の食文化が日本人の食生活に根付いて欲しいと願うならば,日本社会全体の乳に対する感性的な受け入れの動向を注意深く観察し,現在育ちつつある新しい乳・乳製品の受け入れを次の50年につなげる新しい提案を絶えず続ける行動力を失わないことが肝要であろう。
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【関連書籍紹介】
書籍名:近代日本の乳食文化 その経緯と定着
著者:江原絢子、平田昌弘、和仁皓明=編著/一般社団法人Jミルク=企画編集
ISBN:978-4-8058-5999-5
出版社:中央法規出版株式会社
https://www.chuohoki.co.jp/products/food/5999/
【関連コンテンツ紹介】
講演動画 ミルクの達人1Dayセミナー
「酪農乳業における先人たちの教え」
https://www.j-milk.jp/gyokai/seminar/h4ogb400000053yj.html#hdg2