平成28年度(2016年度)「乳の社会文化ネットワーク」学術研究「わが国酪農経営の多角化と効率性に関する実証分析」(http://m-alliance.j-milk.jp/ronbun/shakaibunka/shakai_study2016-05.html)の研究成果を、乳の社会文化ネットワーク幹事の大江靖雄教授(東京農業大学)がTourism Economics誌に発表されましたので、ご紹介いたします。
本論文では、我が国の「酪農教育ファーム」の財務データを用いて、乳製品加工の多角化を行う酪農経営が、経営をより効率的にしていることに関するDEA分析での実証について論じられています。

【誌 名】Tourism Economics
     First Published 3 Jan 2021.
     https://doi.org/10.1177/1354816620980185

【論文名】Investigating farmer’s identity and efficiency of tourism-oriented farm diversification

【著 者】Yasuo Ohe

【要約(抜粋、和文)】
農業経営の多角における観光活動はその意義を増しているものの、観光活動によって農業経営がより効率的になるかどうかは、いまだ理論的かつ実証的にも十分検証されておりません。
そこで、本研究では、包絡分析法によって酪農教育ファームを対象としてその経営の効率性を理論的・実証的に評価しました。
その結果、乳製品の加工や直接販売を行っている酪農家は、そうでない酪農家よりも経営の効率性が高いことがわかりました。
これは、経営者の職業的アイデンティティを多角化にふさわしく拡張形成することで、新たな社会的需要を創出することと合わせて、経営資源の有効利用をもたらす幅広い経営視点を獲得するためであり、このような幅広い視点は、酪農教育ファーム活動のネットワークを通じて育まれました。
したがって、酪農家による教育的活動を伴う多角化経営は、新しいビジネスチャンスを育み、効率的な農業資源の配分につながる可能性があります。
以上から、経営者の職業的アイデンティティの形成は、酪農経営における起業家精神を構築する上で重要な要素となるということができます。

【参 考】
・2016年度「乳の社会文化」学術研究の選考結果
・学術研究の報告

2021年2月12日