2011年
著者:Wolf, C. A., Tonsor, G. T., Olynk, N. J.
所属:Department of Agricultural, Food, and Resource Economics at Michigan State University Department of Agricultural Economics at Kansas State University Department of Agricultural Economics at Purdue University
雑誌名・年・巻号頁:Journal of Agricultural and Resource Economics, 2011, 36 (2), 326-342.

  • 社会文化
  • マーケティング

<要約>

アメリカの家庭において牛乳は、カルシウムやビタミンDを供給するだけでなく、食生活を支える重要な食品となっている。アメリカの消費者の牛乳購買行動は多様化しており、旧来の1ガロン毎の購買だけでなくハーフガロンサイズの購買、チョコレートその他のフレーバー牛乳類、多種類の脂肪含有量調整牛乳類などの購買がみられる。これは提供する企業の革新でもある。さらに近年では、「rbSTホルモンフリー」のオーガニック牛乳が注目を集めており、消費者は牛乳の生産過程や生産地などの様々な情報に対して目を配るようになっている。実際に、オーガニック牛乳の販売増加量を見ると、2000年から2005年の間で毎年25%以上の伸びを見せている。一方、牛乳全体からオーガニック牛乳の販売割合を見ると、その小売価格が通常の牛乳の倍ぐらいであることも多いので、2008年時点で、3%以下であり、いまだにその割合は低い。そこで小売店舗では、オーガニック牛乳に対する消費者の潜在的なニーズに対応すべく、「rbSTフリー」、「ローカルファーム産」、「アメリカ農務省の保証付き」といったラベルを牛乳に貼るようになっている。本研究では、このような牛乳の商品属性が当該牛乳の支払額に及ぼす影響を検討している。 調査では、オンライン上での選択課題を用い、ハーフガロンの購買を好む消費者506名と1ガロンの購買を好む消費者501名の合計1007名を対象とした。分析では、各属性が支払意志額に及ぼす影響を多項ロジットモデルで検討した。その結果、グループ間での差は統計的にはっきりしなかったが、全体の消費者を通して、「rbSTフリー」、「ローカルファーム産」「アメリカ農務省による保障」のラベルが支払意思額を増加させることが明らかとなった。例えば「rbSTフリー」のラベルは、消費者の支払意志額を約20%~40%程度増加させるという結果であった。これらの結果は、消費者がオーガニック牛乳に対して潜在的に高いニーズをもっていることを示しており、そのニーズに対応するために、これらラベルを付与することでより高い利益を上げられることを示している。今後の研究では、ヨーグルト、チーズ、バター等の牛乳を使用した製品においてこれらの属性が及ぼす影響を検討する必要があるだろう。

<コメント>

牛乳・乳製品の付加価値化が重要な課題であるのは日本も同様である。アメリカでのこの結果、「消費者がオーガニック牛乳に対して潜在的に高いニーズをもっていることを示しており、そのニーズに対応するために、これらラベルを付与することでより高い利益を上げられることを示している。」はかなり重要な示唆である。
日本においても同様の調査は実施すべきで、研究の課題に書かれているように、これを他の乳製品にも拡げていくことが望まれる。

書籍ページURL
http://www.j-milk.jp/tool/kenkyu/berohe000000lg1w.html

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2015年9月21日