1989年
著者:細野明義
所属:信州大学農学部教授
雑誌名・年・巻号頁:新説チーズ科学.株式会社食品資材研究会.1989年9月.15−22

  • 社会文化
  • 歴史

<要約>

「牧乳利用説」は「独逸農事圖解」(全31部門の第16番)に訳載され、明治8年(1874)9月、内務省勧業寮から翻訳刊行され、ヨーロッパ農業におけるチーズやバターの製造法について記した、我国で最も古い翻訳図説と思われる。したがって、「牧牛利用術」が我国におけるチーズ製造の歴史上、極めて大きな意義を持っている。「牛乳」「牛酪」「乾牛」「あいすくりん」等の牛乳・乳製品が市民権を得ようとした時期に「農事圖解」を翻訳出版。
「牧乳利用説」の原著は明治6年、オーストリアで開催された万国博覧会に参加した田中芳男が持ち帰り、オランダ人に和訳させ、平野榮、鳴門義民が校閲し、54㎝×70㎝の和紙全面に図入り印刷されたもので、大和仮名で綴られ、異体漢字が多いが、難解な文字ではない。「牧乳利用説」には「牧乳利用」「牛乳利用」「牛肉利用」「力役の用」「牛養法」「牛糞」の講があったが、「牧乳利用」には乳汁・乾酪・牛酪等について、「牛乳利用」には稀乳・牛酪・乾酪・乳液・酪質・乳質や温度・時間・量と図番説明が加わり、製法等が掲載されている。「リンブルケル」「エメンタール」等の紹介も細野の注釈付きで掲載されていた。図番は図‐1から図‐41まで提示されている。

<コメント>

原本名称・発行年月日不明で、著者はアントン・ハルチンゲン。日本最初の翻訳図説である。

書籍ページURL
 https://www.j-milk.jp/report/paper/alliance/berohe000000lg1w.html

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2015年9月21日