2014年
著者:畜産経営経済研究会・小林信一(編著)
所属:日本大学生物資源科学部・教授
雑誌名・年・巻号頁:農林統計出版、2014年9月、全213頁

  • 社会文化
  • 酪農経済・経営

<要約>

課題:畜産経営経済研究会メンバーが中心になって公表された日本酪農の持続的発展のための3度の提言を受け、TPPを始めとするグローバル化のもたらす影響と、このグローバル化に日本畜産が対応する策として「農地の畜産的利用」を中軸に据えて考察する。
結論:本書は、TPP・日豪EPAによって予想される日本畜産・日本社会への影響分析と対極的なグローバル化を経験している韓国とニュージーランドの事例考察、ならびに酪農構造・政策、飼料政策、飼料の国産化といった農地の畜産利用推進に向けた分析から構成され、「農地の畜産的利用」がグローバル化に対処する日本畜産の有効な方策であることを示している。
・本書の構成
第1章 酪農経営の課題と展望─北海道酪農を中心に─
第2章 酪農経営の動向と生乳生産者団体
第3章 日豪EPA・TPPと農業・酪農
第4章 乳製品関税の撤廃による都府県生乳生産量および北海道プール乳価の変動推計
第5章 生乳取引における生乳生産者団体の取り組み
第6章 畜産・酪農経営安定対策と飼料基金
第7章 全国酪農協会等による提言と畜産政策の課題
第8章 畜産の経営展開とエコフィード─養豚を対象として─
第9章 日本の畜産と飼料政策の方向
第10章 TPPへの対抗戦略は飼料用米による飼料原料の国産化
第11章 水田における粗飼料生産・流通の展開方向と課題
第12章 韓国の経済自由化と酪農・肉牛の現状
第13章 安定と持続性のある酪農業を支える要因─ニュージーランドからの報告─

<コメント>

現在の酪農構造、酪農経営、酪農・飼料政策、飼料の国産化、海外事例を含む畜産分野のグローバル化の現状と予想される影響、生産者団体の組織問題など、日本畜産の直面する課題と対応策を豊富な事例分析を通じて明らかにしている。日本畜産の現状と課題に係わるほぼ全ての事項が網羅されており、個別具体的な分析を行う上で把握しておきたい日本畜産の全体像がつかめる良書である。

書籍ページURL https://www.j-milk.jp/report/paper/alliance/berohe000000lg1w.html

書籍PDFダウンロード

2015年9月21日