2012年
著者:前田絵梨
所属:
雑誌名・年・巻号頁:海外情報 畜産情報、2012年1月1-28

  • 社会文化
  • マーケティング

<要約>

米国は世界トップクラスの酪農大国であり、日本の約10倍の生乳を生産し、8倍の生乳を消費している。一人当たりでは、牛乳・乳製品の消費量は日本の3倍以上だ。この米国では飲用牛乳の消費が減少傾向だが、チーズをはじめとする乳製品の消費が好調であり、牛乳・乳製品の一人あたりの消費量は増加傾向で推移している。この好調な消費を支える要因の一つがチェックオフ制度だ。このチェックオフは、生産者から生乳100ポンド当たり15セントが、輸入業者から輸入乳製品に対し生乳換算で100ポンド当たり7.5セントが徴収されており、これを原資として牛乳・乳製品の消費拡大に向けた取り組みが行われている。日本にも類似の制度があるが、金額が桁違いに大きい。実施主体はデーリィボードと地域団体であり、その下にさらに組織がある。 この資金の使い方も多様であるが、日本には珍しい興味深い使い方もある。需要拡大統合マーケティングプランの2011年度の予算は189百万ドルという200億円弱である。活動内容は主に次の3つの方向に大きく分類され、「消費者の理解醸成(子供を対象とした牛乳・乳製品の栄養学的メリットについての教育など)」、「企業との戦略的連携(マクドナルドなどの企業と連携し、牛乳・乳製品をより多く使用する商品の開発など)」、「国際化の対応や調査研究の推進(海外市場の開拓や牛乳・乳製品の調査研究の推進など)」がその主な使途である。このうち興味深いのが「企業との提携」であり、その概要は以下の通りだ。 『マクドナルドにスタッフを派遣し、牛乳・乳製品の消費拡大につながるメニューを共同で開発した。例えば、マックカフェ用乳飲料については、従来よりも牛乳の使用量を80%増加させたメニューを開発し、牛乳の使用量は年間300百万ポンド(13.6万トン)増加した。また、フラッペは、一杯につき50%程度牛乳を使用するメニューを開発し、14,000店舗で販売したところ、牛乳の使用量は年間100百万ポンド(4.5万トン)増加した。この他、子供でも容易に開けられる、一回飲み切りサイズのペットボトルの開発も行われている。』 このマクドナルドとの連携に当たっては、2010年の実績で5百万ドル(5億円強)のチェックオフを商品開発や商品テストに投資した。これに対して、マクドナルドも新商品に伴うディスプレイ更新などで、年間10億ドルを超える資金を投入したようだ。なお、この連携ではマクドナルドへの生乳の値引き販売はなかった。値引きによる消費拡大は一過性であり、値引き中止で消費も減少するという認識から、値引きによる消費促進は効果なしとしている。

<コメント>

チェックオフ制度は、日本にも類似の制度があるが、アメリカと比べて金額が桁違いに小さい。そのために予算不足でテレビCMもままならないのは残念である。ここで注目すべきは、企業との戦略提携であり、マクドナルドとの関係に見られるような提携は大いに参考になる。日本でもこの方向性を研究していく必要がある。 書籍ページURL

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2015年9月21日