2012年
著者:小野史
所属:日本農業経営大学校

  • 社会文化
  • 食文化・食生活

問題の所在と本研究の目的

本研究の目的は、子育て世帯における牛乳・乳製品の消費習慣と利用方法について、世帯の属性と食卓での消費実態に注目して明らかにすることである。
日本における牛乳・乳製品の消費は、近代化の時期に萌芽し、第二次世界大戦後に本格的に拡大した。長期間にわたって牛乳・乳製品を利用する食文化を育んできた欧米諸国との間には、現時点でも消費量において大きな水準差がある上に、食料消費構造に異なる部分が多く、学校給食における牛乳飲用を中心として、日本独自の牛乳・乳製品消費が展開していると考えられる。
戦後順調に拡大してきた牛乳・乳製品の消費量も、1990年代以降飲用乳の消費量が減少していることによって、近年停滞している。少子化が進行していることから、学校給食を中心に最も牛乳・乳製品を消費している学齢期の子どもによる牛乳・乳製品消費は今後も減少を続けることが予測される。食料消費全体をみても、総供給熱量の飽和、戦後拡大してきた肉類、油脂類消費量の飽和など、品目構成の面でこれまでとは異なる方向性が見出されるほか、中食・外食が増え、消費形態の多様化も進んでいる。今後の牛乳・乳製品市場の展開を検討するためには、現在、どのような消費者がどのような意識でどのように牛乳・乳製品を消費しているのか、その食卓レベルでの実態を把握することが第一歩であると考える。本研究では、これらの点について、子育て世帯の主婦による世帯の食行動記録調査と、同じく子育て世帯の主婦を対象としたアンケート調査によって明らかにすることを試みる。子育て世帯に着目するのは、最も牛乳・乳製品消費量が多い子どもについて、学校外での消費実態を把握でき、あわせて親世代の消費実態と購買・調理担当者の意向を知ることができるためである。

書籍ページURL
https://www.j-milk.jp/report/paper/alliance/berohe000000hclf.html

2015年9月21日