2012年
著者:栢英彦
所属:前日本大学生物資源科学部

  • 社会文化
  • 歴史

要旨

535年、仏教伝来の頃に乳利用技術がインドから中国大陸、朝鮮半島を経て導入された。「貢蘇の儀」は700年に始まり、1314年まで続けられた記録がある。蘇は「乳1斗を煎じ、蘇1升を得る」と法令集・延喜式(984年)に記載され、「牛乳を10分の1に濃縮して出来たものがチーズ」であることが推測出来る。
1728年、白牛酪が作られるようになった。1853年、黒船来航以後、牛乳やアイスクリームの製造販売が始まっている。1871年、明治維新政府は北海道開拓使を設立、有畜酪農推進と牛乳増産に努めたが、チーズ製品化には至らなかった。
1928年、本格的なチーズ製造がはじまったが、世界大戦による輸入禁止令、副原料等の確保といった技術的課題に遭遇していた。大戦後の1945年、食生活の洋風化が進み、原料チーズの供給体制が強化、生産設備や市場需要に対応できるようになった。1975年以降、ファームチーズ製造者が現れ、生産供給体制が変化を始めた。ナチュラルチーズへの嗜好が増えるに従い、国産ナチュラルチーズ生産量と消費増大が期待された。
1987年、国産ナチュラルチーズ開発事業が開始された。1990年以降、ナチュラルチーズ工場数が増え、製造種類も増えたが、生産量は顕著ではない。品質・販売体制確立には課題が残るが、チーズの持つ特性は、消費者に浸透・拡大し現在に至っている。

書籍ページURL
 https://www.j-milk.jp/report/paper/alliance/berohe000000hclf.html

2015年9月21日