2013年
著者:徳原大介
所属:大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学

  • 健康科学
  • 免疫調節・がん

要旨

目的;炎症性腸疾患におけるビタミンD の炎症抑制効果をモデル動物を用いて検証する。
方法;ビタミンD3を含有(645 IU/100g)あるいは除去した餌を用いて、SJLマウスを6週齢から飼育した。10週齢時にトリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)と50%エタノールをビタミンD投与マウスおよび非投与マウスの両群の大腸内に投与し大腸炎を誘発した。対照として、ビタミンD投与マウスおよび非投与マウスの両群の大腸内に50%エタノールを投与した。投与後4日目まで体重増加率・生存率を経時的に評価し、2日目の大腸粘膜組織における炎症性サイトカイン(TNFα,IL-6,IL-12)濃度を測定した。結果;50%エタノール投与群(ビタミンD 投与/非投与含む)では、死亡率は0%であり、体重は5.2±2.1%増加した。TNBS 投与群では、死亡率はビタミン含有餌飼育群が65%、ビタミン除去餌飼育群が70%であった。TNBS 投与後の体重増加率はビタミン含有餌飼育群(−13.4±4.6%)がビタミン除去餌飼育群(−16.7±5.2%)よりも体重の減少が低い傾向にあったが、有意な差は認めなかった。大腸粘膜組織における炎症性サイトカインの濃度についてもビタミン含有餌飼育群とビタミン除去餌飼育群で有意な差は認めなかった。
まとめ;ビタミンDの投与は炎症性腸疾患の増悪因子とはならないことがわかった。今後、ビタミンDならびにTNBS の投与量を調整し、ビタミンDの炎症制御効果についてさらに検証をすすめたい。

書籍ページURL
http://www.j-milk.jp/tool/kenkyu/berohe000000jgmy.html 

2015年9月18日